平ワッシャーの実験
ナットを締め込む時にボルトが供回りする事があります。ボルトの供回りは何故起きるのでしょうか? ワッシャーの有る無しに関係なく起きて、有る方がむしろ起きやすい。仕方のない事と考えられていて、ボルト作業者のイライラの種です。ですが、供回りの理屈さえ分かれば案外簡単に解決出来ます。
平ワッシャーで実験してみました!
ボルトの面圧を下げる為に、平ワッシャーが使われます。径の小さなものより大きい方が面圧が下がるので大きい程よい
ーーーみたいだけれども、本当でしょうか? 市販の大径のワッシャー(M16用・S45C焼入れ・45φ)で締付け実験をしました。
①ナットを目一杯締付け
②開放後ナットの押し跡がワッシャ―
に薄く白く付いている
③床面へワッシャーの押し跡
写真③に注目下さい。赤い円がワッシャーの外径で、押し跡から見てワッシャーは内径と外径の1/4~1/3辺りまでしか接触していないのが分かります。(ケチを付ける積りはありませんが)ワッシャーは全面で均一に面圧を負担しておらず、ナットの丁度裏側辺りだけが強く接触しています。これは、ナットを締めるとワッシャーの縁が僅かながら浮き上がるからです。大した発見ではないようですが、こう考えました。
ならば、押し跡が付く部分を「僅かに」凹ませたワッシャーと作ったらどうなるか? しかし凹ませ過ぎるとそこに空間が出来るから、これでは「均一な面圧」となりません。そこで:ボルトの軸力が低い締付け初期には空間があるが、ボルトを強いトルクで締め終わると凹みが平らになるように隙間を微妙に調整して作ったらどうか。こうして理想的な凹み量を突き止めました。
結果:ボルトを締め付けると面圧がワッシャー全面に均一に分布するワッシャーが出来上がりました。
めでたし、めでたし。★特許を申請しました。
★更に予期せぬ面白い現象に気付きました。一つの発見が次の新しい発見に繋がります:先の新発明のワッシャーを使うと、締付け時にナットを回してもワッシャーが決して供回りしない現象に気付きました。表面がナットに擦られてもひっかかれても、ビクともワッシャーが供回りしない!のです。 均一な「面圧とは無関係な現象」です。何故か、と考えました。
(2)へつづく。