ボルトエンジニア(株)

TOPへ戻る▶

技術課題②
油圧ボルトテンショナーだから「正しい」か?
残留軸力の低下問題

油圧トルクレンチではねじ面やナット座面の摩擦でエネルギーが失われ、実際に軸力に変換されるのは、たった10%程度です 油圧トルクレンチではねじ面やナット座面の摩擦でエネルギーが失われ、実際に軸力に変換されるのは、たった10%程度です

油圧トルクレンチではねじ面やナット座面の摩擦でエネルギーが失われ、実際に軸力に変換されるのは、たった10%程度です。それなら―――、(上の)油圧ボルトテンショナーなら絶対か? 例えば100kNで引っ張ると、理屈から言えば、それがボルト内へ残留するから、100%正しいように「思えます」。

処がどっこい、そうは行かない!ボルト長さ(=被締結物の厚み)がボルト径の3倍以下なら、先ず信用しない事だ。 下記の実験図は、やや「楽観的」なもの:座面・合わせ面・ねじの仕上げ面が、超ベストな条件の場合に限ります。通常ボルト長さ(被締結物)がボルト径の2倍以下なら、殆ど「締まらない」と考えてください。これは油圧レンチより「酷い」。

ボルトの残留軸力表 ボルトの残留軸力表

どうしてこうなるか? ナット座面・フランジ合わせ面・ねじ面同士の微細な凸凹を、完全にゼロには出来ない為です。それに(手動の)トミーバーでナットを床へダウンタッチするときに、力の入れ具合も関係し、5Nmか3Nmかでも異なります。テンショナーで幾ら正確に加重しても、「軸力の一部」が先の凸凹や歪に吸収されてしまいます。凸凹の量はボルト長さが短い程「相対的に大きくなる」からです。 防ぐ方法はあります:例えば100kNで締め付けたければ、軸力の減少を加味してテンショナーを(例えば)120kN程度で稼働させて強めに締め付ければよい事になります。問題はそこまで当のボルトがちゃんとモツかは確かめておく必要があります。

解決

こんな問題の解決に、テンションナット(=機械式ボルトテンショナー)をお勧めします。ボルトの残留軸力が低下しないからです。ご相談ください。 ◎お客様の声: ・残留軸力が低下しないので、理想的な試験が出来る(A製鋼所の特殊鋼棒引張り試験機に採用 M41)

テンションナットの原理図
■軸力管理について、更に詳細にお知りになりたい方へ■

以下のWebページ(=PDFファイル:精密工学会誌抜粋)をお勧めします。 内容はボルトの残留軸力・それを得るための倍率・ワシャの使用について・伸びボルト・伸びとネジピッチ・油圧ナットなどの説明があります。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspe/81/7/81_633/_pdf